第31話  

天堂が出征して一年の歳月が流れた。柳子は売国奴の汚名を着た父親の屈辱を晴らすため、海軍に就職。天堂の帰りをひたすら待っていた。この一年の間に、柳子は数限りなくタカの家を訪れていた。その後の天堂の消息を知りたくて、勤めの帰りには自然に足が向いてしまうのである。そんなある夜、天堂が突然タカの前に姿を見せた。陸軍情報部の特殊部隊に属している天堂は、個人的な行動は一切禁止されていると告げて、すぐに立ち去った。一方、柳子は、朝倉家の当主となった圭吾との結婚を貴久子から迫られていた。そこへ、天堂が無事だというタカからの知らせが...。