第32話  

天堂が無事だったという知らせは柳子をたまらなく幸せにさせた。そんな柳子にタカは家の鍵を預け、正一を連れて実家のある福井県へ疎開して行った。柳子の満二十三歳の誕生日。圭吾から見事なカトレアの花をプレゼントされるが、柳子にとってはかえって迷惑。その夜、柳子は圭吾からプロポーズされた。圭吾を兄のように思ってきた柳子は、きっぱりと断った。数日後、勤めを終えた柳子はタカの家に行った。天堂の部屋で天堂の想い出にひたっていると、誰かがやってきた。天堂だった。激しく抱き合う二人。そこへ、圭吾が入ってきた。