第37話  

華族制度が廃止されれば、金力を持ったものが勝ちだ―。圭吾は古美術品の仲介業に手を染め、柳子にも協力を求めた。が、目的のためには手段を選ばないと主張する圭吾に、柳子はついていけない。一方、琴子は姉よりも気持ちの切りかえが早く、さっさと進駐軍の通訳の仕事を見つけてきた。そんなある日、柳子は天堂に似た男を見つけ、車にひかれそうになった。車を運転していた男は柳子を"当り屋"呼ばわりし、圭吾や貴久子まで唇かみしめた。怒りに燃えた柳子は彼らを見返すため、圭吾の仕事を手伝うことを決意。その夜、屈辱に耐えられなくなった貴久子は自害しようと...。