第38話  

間一髪で、柳子は貴久子の自殺をくいとめた。傷ついた貴久子の心を母親の様に優しく慰める柳子。その夜、圭吾が柳子にあらためてプロポーズ。朝倉家再興をめざすには夫婦になるのが一番だと訴えた。圭吾の気持ちを嬉しく思うものの、返事をするには少し時間が柳子には必要だった。やがて、柳子は圭吾との結婚を決意した。天堂の墓に報告し、自分の気持ちにけじめをつける。タカも祝福してくれた。東京に初雪の降った朝、結婚式が挙げられた。内輪だけの質素な式だった。柳子はすべての過去を捨て去って、純白な気持ちで圭吾の胸に飛び込むつもりだった。