第53話
飛田を殴って逃げていく男を、琴子が目撃した。見覚えのある男だった。朝倉が雇っている杉山だった。飛田はまもなく意識をとり戻し生命には別状ないとの診断だった。琴子はほっとし、飛田を一生懸命看病した。その頃、圭吾は杉山の起こした暴力沙汰のもみ消しに躍起になっていた。事件は杉山が勝手に暴走したのだった。天堂は杉山を警察へ連行するため朝倉家に押しかけた。亡き男爵の名誉のため、朝倉家から犯罪人を出したくないと譲歩する天堂に、圭吾らは知らぬ存ぜぬの一点張りだった。天堂はもはや二人とは話し合いの余地はないと知る。