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2026/05/26 17:00

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NEW 『未解決の女』3週連続視聴率1位のわけ 鈴木京香×黒島結菜の新バディが生む“温度差の化学反応”

『未解決の女 警視庁文書捜査官 Season3』でタッグを組む(左から)黒島結菜、鈴木京香(C)テレビ朝日

 今クールの連続ドラマにおいて、初回から第3話までトップを走っていたTBS系日曜劇場『GIFT』を抜き、第4話から第6話まで3週連続で第1位を獲得したテレビ朝日系木曜ドラマ『未解決の女 警視庁文書捜査官 Season3』。見逃し配信の再生数も異例の右肩上がりを記録するなど、回を追うごとに熱を帯びている。この逆転現象と本作の魅力について、メディア文化評論家の碓井広義氏に話を聞いた。 ■“期待値”から“絶対的な面白さ”へ。口コミで広がる視聴者の輪

 『未解決の女』はシーズン3ということもあり、爆発的な初速はなかった。しかし、「1話完結で途中からでも入りやすいフォーマットに加え、第4話『令和の三億円事件』のようなキャッチーな題材の投入が功を奏し、これまでのファンだけでなく、新規参入の支持者も増えてきました」と碓井氏は語る。「懐かしいシリーズが帰ってきた」という当初の期待値を、「思ったより面白い」という実感が超え、口コミで新規視聴者を獲得していったとみる。

 特筆すべきは、見逃し配信の動向である。一般的に1話完結の刑事ドラマは「好きな回だけ見る」傾向が強く、配信数は初回をピークに下がるのが定石だが、本作は第4話、第5話と2週連続で再生数が上昇している。碓井氏は「事件解決の面白さに加え、『このチームを毎週見てみたい』という視聴動機が育っている証拠」だといい、「“途中からでも入れる気軽さ”と、“続けて見たくなる吸引力”が両立している。そこが、配信で右肩上がりになっている最大の理由だと思います」と指摘する。

■謎解きだけではない。大森美香脚本が描く“感情の未解決”

 本作独自の大きな特徴が、鳴海理沙(鈴木京香)による“文字や文章に特化した捜査”だ。派手なアクションや最新科学ではなく、手紙やメモ、筆跡など「書かれた言葉」から文章心理学をベースに人間を読み解いていく。「文字にはその人の癖や感情、本音がにじみ、文章には人柄が潜んでいます。視聴者も一緒に『この違和感は何だろう』と考えられ、知的なのに人間臭い絶妙なバランスがクセになるのです」(碓井氏)

 さらに、過去と現在の2つの事件が同時に解決する稀有な構造を持ちながら、本作が描いているのは単なる犯人探しではない。

「普通、未解決事件といえば“犯人が捕まっていない事件”ですが、本作が描くのは、言えなかった言葉や止まった時間、忘れられない後悔といった“感情の未解決”です。理沙の『理不尽な事件を弔いたい』という言葉が象徴するように、『この人はなぜ苦しみ続けていたのか』が視聴者の心に残る。事件を解決すると、少しだけ誰かが救われる。その余韻の優しさが、「未解決の女」をただの刑事ドラマで終わらせていない理由だと思います」

 また、脚本・大森美香氏が得意とする“キャラクターショー”としての魅力も健在だ。宮世琉弥や遠藤憲一ら第6係をはじめ、沢村一樹らが演じる警視庁捜査一課の面々はキャラが濃く、シリアスな事件の合間に挟まれるウィットに富んだ掛け合いが空気を柔らかくしている。本来はサポート部隊であるはずの第6係が、花形の強行犯係を食うような活躍を見せるのも本作の醍醐味となっている。

■鈴木京香×黒島結菜が体現する、新たなバディ像

 今シーズン最大の転換点は、前シーズンまで理沙とバディを組んでいた矢代朋(波瑠)が異動し、新係長としてキャリア組の陸奥日名子(黒島結菜)がやってきたことだ。躍動感あふれる矢代との凸凹感が人気だっただけに、碓井氏も当初は不安があったというが、結果として「新しい温度が生まれている」と絶賛する。

 この新バディの噛み合い方について、碓井氏は「温度差の化学反応」と表現。「鈴木さんは、“静けさで感情を見せられる俳優”なんです。大きく感情を爆発させなくても、視線や間、少し声を落とすだけで、その人物の孤独や知性、人への優しさが伝わってくる。鳴海理沙というキャラクターも説明しすぎない人だからこそ、鈴木さんの“余白の芝居”が生きる。一方の黒島さんは、感情が“滲(にじ)む”タイプの俳優です。派手に見せようとしなくても、表情や仕草の中に、その人物の真っ直ぐさや不器用さが自然に出てくる。鈴木さんの作る『静かな空気』の中に、黒島さんの『不器用な熱』が入ることで、理沙の孤独や優しさもこれまで以上に見えてくるし、逆に日名子の未熟さや純粋さも際立つ。矢代との関係が“勢いの化学反応”だったとすれば、今回は“温度差の化学反応”なんです」

 無理にぶつかり合うのではなく、少し噛み合わないまま事件を通して理解を深めていくリアルな距離感。それが、世代の違う女性同士の心地よい会話劇を生み出している。「矢代朋の穴を埋めようとしていないのが良かった。同じ形をなぞるのではなく、新しいバディ像としてちゃんと構築されている。「定型」の安心感と「定型破り」の意外性。そのバランスが、このシーズン3の大きな強みなのです」と碓井氏は太鼓判を押す。

■今後は“人間ドラマ”としてさらに進化

 今後の展開について碓井氏は、「“刑事ドラマ”としてだけでなく、“人間ドラマ”としてさらに強くなっていく」と予想する。「事件が解決する爽快感がありながら、最後には人の魂が救済される。その優しさが、今の時代にすごく求められている気がするんです」といい、続編があるとすれば「鳴海理沙と陸奥日名子、この新バディの関係をもっと長く見たいですね。今はまだ距離のある二人が、事件を通してどう理解し合っていくのか。その積み重ねを見届けたくなる。そこが今の『未解決の女』の一番の魅力だと思います」と期待感をにじませる。今シーズンだけでなく、テレビ朝日ならではのシリーズ展開にも注目していきたい。

【碓井広義(ウスイ・ヒロヨシ)プロフィール】
1955(昭和30)年、長野県生まれ。メディア文化評論家。2020(令和2)年3月まで上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。慶應義塾大学法学部政治学科卒。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年、テレビマンユニオンに参加、以後20年間ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に『人間ドキュメント 夏目雅子物語』など。著書に『テレビの教科書』、『ドラマへの遺言』(倉本聰との共著)など、編著に『倉本聰の言葉――ドラマの中の名言』がある。
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