2026/06/13 12:00
エンタメ総合
NEW 『喧嘩独学』武内英樹監督、鈴鹿央士・見上愛・菅生新樹・生見愛瑠ら若手キャストを絶賛「本当にいいチームだった」
Netflixシリーズ『喧嘩独学』(独占配信中)場面写真
動画配信サービス「Netflix」で独占配信中のNetflixシリーズ『喧嘩独学』を手がけた武内英樹監督が、主演の鈴鹿央士をはじめ、見上愛、菅生新樹、生見愛瑠ら若手キャストとの撮影秘話を明かした。
本作は、国内累計閲覧数5.4億回、世界累計閲覧数22.8億回(※2026年1月時点)を超える人気ウェブトゥーン『喧嘩独学』を実写化した青春エンターテインメント。『翔んで埼玉』『はたらく細胞』の武内監督と脚本家・徳永友一がタッグを組み、理不尽な現実に立ち向かう高校生の逆襲劇を描く。
主人公・志村光太を演じるのは鈴鹿。母親・美由紀(原田美枝子)の入院費用を稼ぐため、アルバイトに追われながら、学校ではクラスメイトのハマケン(長田拓郎)やカネゴン(菅生)から暴力を振るわれるつらい日々を耐えていた。そんな志村にとって、バイト先のマドンナ・朝宮夏帆(生見)の笑顔だけが唯一の救いだった。
しかし、あるアクシデントをきっかけに志村の人生は一変する。たまたま配信されてしまった喧嘩の動画が大バズり。「喧嘩配信」が金になると知ったカネゴンからの提案を受け、志村は投げ銭で大金を稼ぎ、底辺からの脱出を目指すことになる。
──主人公の光太を演じた鈴鹿さんはじめ、キャスティングに関しては監督からもリクエストを出されたんでしょうか?
【武内】プロデューサーと相談しながらでしたね。光太役の鈴鹿くんは原作にぴったりだなというのがありました。鈴鹿くんは繊細に見えてものすごく熱い男で、本当に真面目。その中でお茶目なところもあって、そういうところも光太にぴったりだなと感じました。
ただ、実際の鈴鹿くんは結構身長が高いんですよね。そこはごまかせるかなと思いましたが、一方で体作りをしてもらわないといけない。一回、筋肉を付けて身体を大きくしてからのほうが絞りやすいということで、先に散々鍛えてもらって、撮影に入る前ぐらいから落としてもらいましたが、2、3話の雨のシーンの撮影は絶食とまでいかないけれど、徹底して絞ってもらったんですよ。あの撮影が終わった瞬間に今度は「太って!」って。大変だったと思います。雨の撮影が終わった後、お詫びとお礼を兼ねてステーキ屋に連れていって、死ぬほど食べてもらいました。
──カネゴン役の菅生新樹さんに関してはいかがでした?
【武内】菅生くんもすごく熱い男ですね。まだそんなに経験があるわけではないけれど、熱量がすごく伝わる芝居をしてくれる。カネゴンは光太をいじめる側の存在でいたのが、気がついたら一緒に戦っていて、そのギャップがうまく出ていると思います。彼も人柄がすごくいいんですよね。そこがカネゴンにいい具合にはまって、完全な悪じゃなくて、弱さや狡(ずる)さが見えてどこか憎めないキャラクターになった気がします。
鈴鹿くんとの波長もすごく良かったですね。どの作品でも常に大事にしているのはテンポやリズムですが、おふたりの掛け合いは本当に軽快な音楽のようでした。初日が3人での屋上のシーンで、その前に一度リハーサルをやってキャラクターやリズムを整えましたが、そこに見上愛ちゃんの違う音が入ってくることによって、単調なメロディーじゃなくて面白いリズムが生まれてくる。そこを狙って作っていて、3人の演奏者が見事にそれぞれのパートで奏でてくれていたなと思います。
──秋役の見上愛さんは朝ドラ(『風、薫る』NHK/2026年)のヒロインです。
【武内】朝ドラを見ながら、『喧嘩独学』も見てほしいですよね。同じ女優さんなの!?とびっくりされると思います(笑)。見上さんは大河ドラマ『光る君へ』(NHK/2024年)を見て、仕事をしてみたいとずっと思っていたんです。不思議な存在感があるんですよね。
秋はミステリアスな存在でもあるので、はまるだろうなと思っていましたが、想像以上でした。原作で秋は常に黄色を着ている設定だったので、とにかく黄色い衣装を集めてもらったんです。その中で選んだのがあのジャージですが、なんであんな突飛な黄色い衣装が似合うんでしょうね。なかなか着こなせないですよ(笑)。
──夏帆役の生見愛瑠さんについても聞かせてください。
【武内】夏帆は原作の設定からして圧倒的な美少女でなければいけなかったのですが、生見さんは何を着せても似合って、可愛らしい表情も抜群にうまい。お芝居にすごく安定感があって、後半のシリアスなところもすごく気持ちが入っていて良かったと思います。ご本人はすごくさばさばとした方なので、お嬢様というキャラクターは最初ちょっと苦労していましたね。ほしかったのはお嬢様としての品のようなものですが、言葉にするのがなかなか難しくて、本人も最初は悩んでいたみたいです。
あと、秘密を抱えているキャラクターでもあったので、シーンごとに何をどこまで出していくかという説明もすごく苦労しました。伏線を張り巡らせたうえで、そこにちゃんとお客さんがついて来られるように丁寧に描いていかないといけない。そこは役者さんともひとつひとつ確認しながら撮影していきました。
■撮影現場について
──撮影を通じて、特に印象に残っているシーンを教えてください。
【武内】4話のカートを使って2人組の敵と追いかけっこをするところは、楽しかったですね。ドローンで撮影して、ワンカットでカートの上までいって、つかまりながらアクションをやるっていう。夜中にカート場の一区画を借りてロケをしたので大変な撮影ではありましたが、出来上がりも面白くできたかなと思っています。
やっぱり大変だったと言えば、2話から3話にかけての雨のシーン。撮影は真冬の一番寒い時期だったんです。その中で鈴鹿くんにガリガリに痩せてもらって、大量の雨を降らしてパンツ一丁になってもらうという流れを4日間に分けて撮った。結構長いシーンで、しかも広いところで撮影したんですよ。巨大なハイライダー(=高所作業車)を出して、そこから奥の方まで雨を降らせるというだけでも大変なんです。セッティングも時間がかかって、その間、役者さんたちは濡れた状態でずっと待ってもらわないといけない。唇を震わせながら頑張っていた鈴鹿くんの姿や、そんな鈴鹿くんを支えていたスタッフやマネージャーさんの姿が印象深いです。
お尻の割れ目はどこまで出すかというのも議論になって。本人は「全然、大丈夫です」って言っていました(笑)。鈴鹿くんには1話で白塗りもやってもらいましたが、あそこはつかみですからね。やっぱりスタートは原作と同じでないと、あれ!?ってなるお客さんも出てきてしまう。世界観にスッと入ってもらうためにも、原作どおりにやりました。
──撮影はほとんどがスタジオではなくロケですよね。
【武内】横須賀にある廃校をお借りして撮影していて、ほかのセットも学校の中で作りました。だからスタジオでは撮っていないんです。ほぼ横須賀で撮っていたので、後半はもう横須賀に住んでいましたね。 都内から向かうと1時間半くらいで、往復3時間くらい掛かるんですよ。そうするとどうしても睡眠時間が減ってしまいますが、泊まればいっぱい寝られますからね。でも、寝られるものだから横須賀で飲み過ぎてしまって。“私の部屋”という名前のいいスナックがあって、そこに通っていました(笑)。
──監督の部屋にもなっていたんですね(笑)。撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?
【武内】4ヶ月で全6話を撮るのでハードと言えばハードでしたが、役者さんたちの息も合っていて、現場にも一体感が生まれていたので、すごくいい雰囲気でしたね。鈴鹿くんが座長となって、どんどんそこからエネルギーが高まっていく感じが画に出ているかなと。やっぱりこういう題材だからこそというのはあるかもしれないですね。青春ものでアクションが入ってくるから熱気も高まって、みんなお互いを気に掛けながらの撮影にもなるので、結束力もより高まる。その様子を学校の先生みたいな目線で見ていました。いいチームができているなって。本当、顧問の先生ですよね。
■印象に残ったシーンとみどころについて
──鈴鹿さんの光太のシーンで特に印象に残っている場面はありますか?
【武内】最終回の伊勢谷友介くん演じる桑田との戦いでは、4ヶ月でここまで成長したんだという姿を見せてくれて、本当に感動しました。でも、一番は3話のハマケンを倒すシーン。あそこのお芝居がすごく良かったです。3話は前半のクライマックスで、全体の流れで見て話が大きく動くところなんですよね。そこから4話のカートに入っていって、ちょっと違う戦い方になっていく。そのギアチェンジをしていくのにふさわしいお芝居で、すごく印象的なシーンになったと思います。
──ハマケン役の長田拓郎さんも良かったですよね。一ノ瀬ワタルさんが世に出てきた時のようなインパクトがあるなと思いました。
【武内】そうなってくれるとうれしいですね。 長田くんは本当に良かったです。彼はああいう髪型にしなければ、イケメンの好青年なんですよね。原作のハマケンは本当に極悪非道な顔をしているので、できるかなと思っていたんです。最初はやっぱり優しさが出てしまっていたので、「優しい。全然、怖く見えない」とずっと言っていました。前半3話は彼の恐ろしさで引っ張っていかないといけないですからね。必死に彼なりにどうやったら怖く見えるか研究して、頑張ってくれましたね。いいヤツです。
■「喧嘩独学」とアクションについて
──ちなみに、監督ご自身は格闘技の経験はありますか?
【武内】一瞬だけ、ボクシングジムに通ったことがあります。ちょうどコロナ禍だったので、すぐに行けなくなってしまいました。 知り合いがやっていて「楽しいよ」と言うので、エクササイズ的な感覚で行ってみたら本当に楽しかったんですよ。普通のジムだとなかなか続かないですが、3分間ずっと運動するにしてもミット打ちだとなんか楽しいんですよね。
人間の奥底にある闘争本能みたいなものに気付かされたりもして、やりながら、これ何かの時に使えるかもしれないなとは思いました。実際、今回の作品に生きた部分も何かちょっとはある気がします。身体的にも心情的にも感覚として分かるなという部分があって、やったと言えるほどではないですが、でも実際やったことあるかないかではやっぱり違うなと思いました。
──そのアクションの部分、喧嘩をどう撮っていくかに関してはいかがでしたか?
【武内】もちろん心情の部分は僕がコントロールしますが、実際の殺陣、動きの細かいところはアクション監督の藤井祐伍さんに任せていました。藤井さんとは結構前から一緒にやっていて、信頼関係もできている。それに藤井さんは面白いアイデアをいっぱい持っているんですよね、まず、藤井さんが自分でイメージする動きをV(ビデオ)コンテで作ってきてくれて、それを見て、もっとこうしたらいいんじゃないかっていう大きなところでの意見だけ言いました。
僕の希望としてあったのは、ただ普通の喧嘩をするのではなくて、ちょっとコミカルな部分を入れていきたい、今まで見たことのないようなアクションにしたいというところですね。そのへんも藤井さんがいろいろなチャレンジしてくれましたが、実際にそれをやる役者さんは大変だったと思います。迫力あるものを目指しつつ、怪我にも気をつけないといけないので、こちらとしてもドキドキでした。
──喧嘩をどう見せていくかというのがポイントでもありますよね。
【武内】お客さんに技をどう説明していくのかというのも難しかったところですね。例えば、3話のカーフキック。アクション監督の藤井さんに説明してもらって、ふくらはぎの後ろ側の薄い皮を狙ったほうが実はすごく痛くて効くと聞いたんですが、それを映像で見せて、ただ足を蹴っているだけじゃないと伝えるにはどうすればいいんだろうと。そのすごさを感じてもらえないことには伝わらないので、 カット割りや音楽も含めて、かなり考えました。
ちなみに、殴られても痛くない方法についても本当なのか聞いてみたら、「 痛いです」と(笑)。軽減はされるみたいですが、痛くないことはないみたいです。
あと、アクションで大変だったのが、1話の光太とカネゴンの喧嘩。あそこはラーメンの掃除が大変でした(笑)。部屋中、赤い汁と麺だらけですからね。セットの美術品も気にしないといけないですが、やっぱり派手な具合にあまくラーメンが当たってほしいじゃないですか。しかも、明らかに麺の量が多いんですよ(笑)。1袋分しか鍋に入れていない設定なのに、ぶちまけているのは4玉分ぐらい。でもああいうシーンは、多くない!?と突っ込まれるくらいでいいんですよね(笑)。
──動画チャンネルの“喧嘩独学”の見せ方もこだわられたところかと思います。
【武内】あれはアラジンの魔法のランプみたいなもので、闘鶏は言ってみればジーニーなんですよね。そういう意味では、どうファンタジックに撮れるか。鶏のお面が本当にその辺の屋台で売っていそうなお面なので、最初はこれで本当に大丈夫なのかと悩みました。
それで試行錯誤して、実際に動画に出てくる闘鶏のペラペラなゴムのお面と、光太の精神世界に出てくる闘鶏の丁寧に作り込んだお面の2種類を作ることにしたんです。でも、その製作段階でも不安でしたね。光太たち高校生の日常もある種、どこかチープなノリではあるので、本来、別事件であるはずの闘鶏までチープに見えてしまうと両方の世界観を壊しかねない。でも、実際に“喧嘩独学”を撮ってみて、意外といけるなと思ったんですよね。設定としてもその辺で買ってきたお面を被ってすごいことを教えているので、それがうまいこと生きていて、精神世界の闘鶏を出すことで世界観の切り替えもできた。今回に関しては、実際にやってみるまでわからないということが多かったです。
主人公・志村光太を演じるのは鈴鹿。母親・美由紀(原田美枝子)の入院費用を稼ぐため、アルバイトに追われながら、学校ではクラスメイトのハマケン(長田拓郎)やカネゴン(菅生)から暴力を振るわれるつらい日々を耐えていた。そんな志村にとって、バイト先のマドンナ・朝宮夏帆(生見)の笑顔だけが唯一の救いだった。
しかし、あるアクシデントをきっかけに志村の人生は一変する。たまたま配信されてしまった喧嘩の動画が大バズり。「喧嘩配信」が金になると知ったカネゴンからの提案を受け、志村は投げ銭で大金を稼ぎ、底辺からの脱出を目指すことになる。
──主人公の光太を演じた鈴鹿さんはじめ、キャスティングに関しては監督からもリクエストを出されたんでしょうか?
【武内】プロデューサーと相談しながらでしたね。光太役の鈴鹿くんは原作にぴったりだなというのがありました。鈴鹿くんは繊細に見えてものすごく熱い男で、本当に真面目。その中でお茶目なところもあって、そういうところも光太にぴったりだなと感じました。
ただ、実際の鈴鹿くんは結構身長が高いんですよね。そこはごまかせるかなと思いましたが、一方で体作りをしてもらわないといけない。一回、筋肉を付けて身体を大きくしてからのほうが絞りやすいということで、先に散々鍛えてもらって、撮影に入る前ぐらいから落としてもらいましたが、2、3話の雨のシーンの撮影は絶食とまでいかないけれど、徹底して絞ってもらったんですよ。あの撮影が終わった瞬間に今度は「太って!」って。大変だったと思います。雨の撮影が終わった後、お詫びとお礼を兼ねてステーキ屋に連れていって、死ぬほど食べてもらいました。
──カネゴン役の菅生新樹さんに関してはいかがでした?
【武内】菅生くんもすごく熱い男ですね。まだそんなに経験があるわけではないけれど、熱量がすごく伝わる芝居をしてくれる。カネゴンは光太をいじめる側の存在でいたのが、気がついたら一緒に戦っていて、そのギャップがうまく出ていると思います。彼も人柄がすごくいいんですよね。そこがカネゴンにいい具合にはまって、完全な悪じゃなくて、弱さや狡(ずる)さが見えてどこか憎めないキャラクターになった気がします。
鈴鹿くんとの波長もすごく良かったですね。どの作品でも常に大事にしているのはテンポやリズムですが、おふたりの掛け合いは本当に軽快な音楽のようでした。初日が3人での屋上のシーンで、その前に一度リハーサルをやってキャラクターやリズムを整えましたが、そこに見上愛ちゃんの違う音が入ってくることによって、単調なメロディーじゃなくて面白いリズムが生まれてくる。そこを狙って作っていて、3人の演奏者が見事にそれぞれのパートで奏でてくれていたなと思います。
──秋役の見上愛さんは朝ドラ(『風、薫る』NHK/2026年)のヒロインです。
【武内】朝ドラを見ながら、『喧嘩独学』も見てほしいですよね。同じ女優さんなの!?とびっくりされると思います(笑)。見上さんは大河ドラマ『光る君へ』(NHK/2024年)を見て、仕事をしてみたいとずっと思っていたんです。不思議な存在感があるんですよね。
秋はミステリアスな存在でもあるので、はまるだろうなと思っていましたが、想像以上でした。原作で秋は常に黄色を着ている設定だったので、とにかく黄色い衣装を集めてもらったんです。その中で選んだのがあのジャージですが、なんであんな突飛な黄色い衣装が似合うんでしょうね。なかなか着こなせないですよ(笑)。
──夏帆役の生見愛瑠さんについても聞かせてください。
【武内】夏帆は原作の設定からして圧倒的な美少女でなければいけなかったのですが、生見さんは何を着せても似合って、可愛らしい表情も抜群にうまい。お芝居にすごく安定感があって、後半のシリアスなところもすごく気持ちが入っていて良かったと思います。ご本人はすごくさばさばとした方なので、お嬢様というキャラクターは最初ちょっと苦労していましたね。ほしかったのはお嬢様としての品のようなものですが、言葉にするのがなかなか難しくて、本人も最初は悩んでいたみたいです。
あと、秘密を抱えているキャラクターでもあったので、シーンごとに何をどこまで出していくかという説明もすごく苦労しました。伏線を張り巡らせたうえで、そこにちゃんとお客さんがついて来られるように丁寧に描いていかないといけない。そこは役者さんともひとつひとつ確認しながら撮影していきました。
■撮影現場について
──撮影を通じて、特に印象に残っているシーンを教えてください。
【武内】4話のカートを使って2人組の敵と追いかけっこをするところは、楽しかったですね。ドローンで撮影して、ワンカットでカートの上までいって、つかまりながらアクションをやるっていう。夜中にカート場の一区画を借りてロケをしたので大変な撮影ではありましたが、出来上がりも面白くできたかなと思っています。
やっぱり大変だったと言えば、2話から3話にかけての雨のシーン。撮影は真冬の一番寒い時期だったんです。その中で鈴鹿くんにガリガリに痩せてもらって、大量の雨を降らしてパンツ一丁になってもらうという流れを4日間に分けて撮った。結構長いシーンで、しかも広いところで撮影したんですよ。巨大なハイライダー(=高所作業車)を出して、そこから奥の方まで雨を降らせるというだけでも大変なんです。セッティングも時間がかかって、その間、役者さんたちは濡れた状態でずっと待ってもらわないといけない。唇を震わせながら頑張っていた鈴鹿くんの姿や、そんな鈴鹿くんを支えていたスタッフやマネージャーさんの姿が印象深いです。
お尻の割れ目はどこまで出すかというのも議論になって。本人は「全然、大丈夫です」って言っていました(笑)。鈴鹿くんには1話で白塗りもやってもらいましたが、あそこはつかみですからね。やっぱりスタートは原作と同じでないと、あれ!?ってなるお客さんも出てきてしまう。世界観にスッと入ってもらうためにも、原作どおりにやりました。
──撮影はほとんどがスタジオではなくロケですよね。
【武内】横須賀にある廃校をお借りして撮影していて、ほかのセットも学校の中で作りました。だからスタジオでは撮っていないんです。ほぼ横須賀で撮っていたので、後半はもう横須賀に住んでいましたね。 都内から向かうと1時間半くらいで、往復3時間くらい掛かるんですよ。そうするとどうしても睡眠時間が減ってしまいますが、泊まればいっぱい寝られますからね。でも、寝られるものだから横須賀で飲み過ぎてしまって。“私の部屋”という名前のいいスナックがあって、そこに通っていました(笑)。
──監督の部屋にもなっていたんですね(笑)。撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?
【武内】4ヶ月で全6話を撮るのでハードと言えばハードでしたが、役者さんたちの息も合っていて、現場にも一体感が生まれていたので、すごくいい雰囲気でしたね。鈴鹿くんが座長となって、どんどんそこからエネルギーが高まっていく感じが画に出ているかなと。やっぱりこういう題材だからこそというのはあるかもしれないですね。青春ものでアクションが入ってくるから熱気も高まって、みんなお互いを気に掛けながらの撮影にもなるので、結束力もより高まる。その様子を学校の先生みたいな目線で見ていました。いいチームができているなって。本当、顧問の先生ですよね。
■印象に残ったシーンとみどころについて
──鈴鹿さんの光太のシーンで特に印象に残っている場面はありますか?
【武内】最終回の伊勢谷友介くん演じる桑田との戦いでは、4ヶ月でここまで成長したんだという姿を見せてくれて、本当に感動しました。でも、一番は3話のハマケンを倒すシーン。あそこのお芝居がすごく良かったです。3話は前半のクライマックスで、全体の流れで見て話が大きく動くところなんですよね。そこから4話のカートに入っていって、ちょっと違う戦い方になっていく。そのギアチェンジをしていくのにふさわしいお芝居で、すごく印象的なシーンになったと思います。
──ハマケン役の長田拓郎さんも良かったですよね。一ノ瀬ワタルさんが世に出てきた時のようなインパクトがあるなと思いました。
【武内】そうなってくれるとうれしいですね。 長田くんは本当に良かったです。彼はああいう髪型にしなければ、イケメンの好青年なんですよね。原作のハマケンは本当に極悪非道な顔をしているので、できるかなと思っていたんです。最初はやっぱり優しさが出てしまっていたので、「優しい。全然、怖く見えない」とずっと言っていました。前半3話は彼の恐ろしさで引っ張っていかないといけないですからね。必死に彼なりにどうやったら怖く見えるか研究して、頑張ってくれましたね。いいヤツです。
■「喧嘩独学」とアクションについて
──ちなみに、監督ご自身は格闘技の経験はありますか?
【武内】一瞬だけ、ボクシングジムに通ったことがあります。ちょうどコロナ禍だったので、すぐに行けなくなってしまいました。 知り合いがやっていて「楽しいよ」と言うので、エクササイズ的な感覚で行ってみたら本当に楽しかったんですよ。普通のジムだとなかなか続かないですが、3分間ずっと運動するにしてもミット打ちだとなんか楽しいんですよね。
人間の奥底にある闘争本能みたいなものに気付かされたりもして、やりながら、これ何かの時に使えるかもしれないなとは思いました。実際、今回の作品に生きた部分も何かちょっとはある気がします。身体的にも心情的にも感覚として分かるなという部分があって、やったと言えるほどではないですが、でも実際やったことあるかないかではやっぱり違うなと思いました。
──そのアクションの部分、喧嘩をどう撮っていくかに関してはいかがでしたか?
【武内】もちろん心情の部分は僕がコントロールしますが、実際の殺陣、動きの細かいところはアクション監督の藤井祐伍さんに任せていました。藤井さんとは結構前から一緒にやっていて、信頼関係もできている。それに藤井さんは面白いアイデアをいっぱい持っているんですよね、まず、藤井さんが自分でイメージする動きをV(ビデオ)コンテで作ってきてくれて、それを見て、もっとこうしたらいいんじゃないかっていう大きなところでの意見だけ言いました。
僕の希望としてあったのは、ただ普通の喧嘩をするのではなくて、ちょっとコミカルな部分を入れていきたい、今まで見たことのないようなアクションにしたいというところですね。そのへんも藤井さんがいろいろなチャレンジしてくれましたが、実際にそれをやる役者さんは大変だったと思います。迫力あるものを目指しつつ、怪我にも気をつけないといけないので、こちらとしてもドキドキでした。
──喧嘩をどう見せていくかというのがポイントでもありますよね。
【武内】お客さんに技をどう説明していくのかというのも難しかったところですね。例えば、3話のカーフキック。アクション監督の藤井さんに説明してもらって、ふくらはぎの後ろ側の薄い皮を狙ったほうが実はすごく痛くて効くと聞いたんですが、それを映像で見せて、ただ足を蹴っているだけじゃないと伝えるにはどうすればいいんだろうと。そのすごさを感じてもらえないことには伝わらないので、 カット割りや音楽も含めて、かなり考えました。
ちなみに、殴られても痛くない方法についても本当なのか聞いてみたら、「 痛いです」と(笑)。軽減はされるみたいですが、痛くないことはないみたいです。
あと、アクションで大変だったのが、1話の光太とカネゴンの喧嘩。あそこはラーメンの掃除が大変でした(笑)。部屋中、赤い汁と麺だらけですからね。セットの美術品も気にしないといけないですが、やっぱり派手な具合にあまくラーメンが当たってほしいじゃないですか。しかも、明らかに麺の量が多いんですよ(笑)。1袋分しか鍋に入れていない設定なのに、ぶちまけているのは4玉分ぐらい。でもああいうシーンは、多くない!?と突っ込まれるくらいでいいんですよね(笑)。
──動画チャンネルの“喧嘩独学”の見せ方もこだわられたところかと思います。
【武内】あれはアラジンの魔法のランプみたいなもので、闘鶏は言ってみればジーニーなんですよね。そういう意味では、どうファンタジックに撮れるか。鶏のお面が本当にその辺の屋台で売っていそうなお面なので、最初はこれで本当に大丈夫なのかと悩みました。
それで試行錯誤して、実際に動画に出てくる闘鶏のペラペラなゴムのお面と、光太の精神世界に出てくる闘鶏の丁寧に作り込んだお面の2種類を作ることにしたんです。でも、その製作段階でも不安でしたね。光太たち高校生の日常もある種、どこかチープなノリではあるので、本来、別事件であるはずの闘鶏までチープに見えてしまうと両方の世界観を壊しかねない。でも、実際に“喧嘩独学”を撮ってみて、意外といけるなと思ったんですよね。設定としてもその辺で買ってきたお面を被ってすごいことを教えているので、それがうまいこと生きていて、精神世界の闘鶏を出すことで世界観の切り替えもできた。今回に関しては、実際にやってみるまでわからないということが多かったです。











