2026/10/17 08:00
エンタメ総合
NEW 『LOST10』タイトルに込めた意味とは… 塚原あゆ子監督&奥寺佐渡子氏が語る“失うこと”と生きる切なさ
金曜ドラマ『LOST10』より(C)TBSスパークル/TBS
俳優の横浜流星が主演を務める、TBS系金曜ドラマ『LOST10』(毎週金曜 後10:00)
脚本を手がける奥寺佐渡子と、演出を務める塚原あゆ子監督に、本作のタイトルに込められた“LOST”の意味から、今の時代に感じる不安や生きることの切なさ、見る人それぞれに委ねられた“余白”まで、『LOST10』の奥にあるテーマについて話を聞いた。
■タイトルに込めた“ロスト”の意味
――どんな経緯でタイトルが『LOST10』になったのでしょうか? 込められた意味なども教えてください。
奥寺:仮タイトルのまま進めていて、「本タイトルは後で考えようね」と話していたんです。新井(順子)さんと塚原さんが考えたアウトラインは決まっているんですけど、脚本を書いている間に話が変わってしまうこともあるので。
いざ「本タイトル、どうしようか」となったときに、物語の中で誰かが何かを失っていることが多いことに気づいたんです。それで、単に何かを失うということだけではなく、いろいろな意味での“ロスト”が描かれている話だなということで、『LOST10』に落ち着きました。
塚原:いずれも何か“ロスト”にまつわる話なんです。連続性はあるんですけれども、それぞれの話にも違った味わいがあればいいなと思っていて。1話1話を深く読むのが楽しかったですね。
――第1話を作る上で、特に意識されたことや、印象に残っているシーンはありますか?
奥寺:人物紹介だけにならないようにというのだけは気をつけました。第1話は台本上でいろいろな状況を説明しなくてはいけなくて、その説明に気を取られてしまっていたのですが、映像で見ると本当にスッキリしていて。いろいろなことがちゃんと伝わってくるので、そこが一番うれしかったです。
塚原:本当に、第1話って難しいですよね。山に行った時も、すごい霧で。標高が高いので基本的に天気が変わりやすくて、もう“ロスト”って感じの“ミスト”というか(笑)、ほぼ何も見えないくらいだったんです。それが、撮影の終盤にはすごく晴れて、ようやく山の全景が見えたのが印象に残っています。
■奥寺佐渡子の脚本に宿る“余白”と、チームの信頼
――塚原さんにとって、奥寺さんの脚本の一番の魅力はどこでしょうか?
塚原:山場のところは、セリフもト書きも少なくて、「何かをやってくださいね」みたいな書き方なんです。
山場となるようなシーンって、自然と言葉数が多くなるし、「ここにこういう人がいて、こうしていて、ここのセリフを言ったら立って」など、いろいろと細かく書かれることも多いので、「このシーンを大事にされているんだな」と思いながら受け取るんです。
でも、奥寺さんの場合は、逆にすごく引き算をされる。『夜行観覧車』(2013年)の時から、「このシーン、(セリフもト書きもほとんど)書いていないから怖いよ」って(笑)。
そこが楽しいんですけど、スタッフも「ここ2行しか書いてないですね、危ないですね」と言うくらい、気合を入れていかないといけない。想像力を求められるシーンが、ちゃんと膨らんだかどうかを試されている感じがします。
細かくは書かれていないけれど、「ここは盛り上げるんでしょ」というのはなんとなく分かる。だから「これはやるしかないぞ」と、みんなが理解している感じです。
――奥寺さんは、あえてこういう“余白”を残して書かれているのでしょうか?
奥寺:書きすぎると緊張感がうすれるので。そういうことを読み取ってくださるチームじゃないと、なかなかできないことですよね。
他では「もうちょっと書き足して」と言われることも多いので、たった2行を、すごく豊かなシーンにしてくださるのはありがたいです。
――奥寺さんは、塚原さんと一緒に作品を作る上で、どんなところを信頼していますか?
奥寺:私が言うまでもなく、やはり演出のうまさ。でも、人間的に好きというのはあります。
塚原:私も奥寺さんが好きです。
奥寺:打ち合わせが楽しいですもん。
■2026年の今、作品に映し出したかったこと
――2026年という今、この作品を通して描きたかったこと、届けたいことを教えてください。
奥寺:何か特定のこと、というわけではないのですが、いつもこの時代の不安みたいなものを、少しでも画面に映して、残せたらなというところがあります。社会に対する不安や、「今、これからどうなってしまうんだろう」という気持ち、人間関係における不安など。何を怖いと思っているのか、何を信じたらいいのか分からないという気持ちを残したいと思っています。
10年後にこの『LOST10』を見たときに、「2026年にはこういうことを、みんな不安に思っていたんだ」と思い出してもらえるとうれしいなと思っています。
塚原:“ロスト”という単語が奥寺さんから出てきた時に、「今に限らず、常に生きるというのは失うことなんだな」と思ったんです。いろいろなものを失いながら生活しているけれど、じゃあ、どうするのか。
小駒と直の手が何を救い上げ、どういうふうに結末を迎えるのか。それは自分や誰かを救い上げる手でもあるし、救えない手でもある。台本の中には、生きることの切なさややるせなさみたいなものがすごくあふれているんです。
でも、それをエンタメとして、金曜日に重くのしかかることなく、救い上げる手を期待しながら、救われながら、気持ちも明るくなるというか、ワクワクする1時間にしたい。今こそ、エンタメとして届けるべきタイミングの作品だと思ってやっています。
■答えを一つに決めない物語
――作品全体を通して、「こういうことを伝えたい」というテーマを最初から明確に決めていたのでしょうか?
塚原:始まってすぐに小栗さんから「この作品は最終的にどこに向かいますか?」「主題というか、訴えたいことは何ですか?」と聞かれたんです。そのときには、奥寺さんが本打ち(台本に関する打ち合わせ)の時におっしゃっていた、「いろいろな意味を持つ“ロスト”」という言葉がすごく印象に残っていて。
そこから、いろいろな“ロスト”につながる言葉や、物語の中での意味を思い浮かべていたんです。それがキャラクターに寄せていく場合もあるし、物語の中心になることもある。でも、一つの主題として、「最後にこうさせなければならない」と決めているわけではないんです。それよりも受け取る側に何かあるように作れたらいいなと思ったんです。
小栗さんにも「最終回までまずは読んでみて、自分で考えてもらいたいけれども、その中に言葉に落ちてはいないはずです」と。「行間を共に読んで、育てて、最終的には見ている方に解釈してもらうまでの物語にしましょう」とお伝えしました。
――では、見る人によって、受け取り方も変わってくる作品ということでしょうか?
塚原:そうですね。何を感じるかは、それぞれ違っていいと思います。
奥寺:私自身も、書きながら「こういうことなのかな」と思うことがありますけど、それを一つの答えにしたいわけではないので。見てくださった方が、それぞれ何かを感じてもらえたらうれしいです。
――最後に、視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
奥寺:第1話は遭難救助ものと思われるかもしれないですが、第2話からどんどん話のテイストや、人物の印象が変わってきます。小駒と直がどこにたどり着くのか、ぜひ最後まで見届けていただければと思います。
塚原:金曜の夜に結構ぴったりだなというぐらいワクワクするし、土日に考察をしたり、お友達と月曜日のランチで「見た?」と話題に出たりするように作っているつもりなので、それぞれの楽しみ方で見てくださったら光栄です。
■タイトルに込めた“ロスト”の意味
――どんな経緯でタイトルが『LOST10』になったのでしょうか? 込められた意味なども教えてください。
奥寺:仮タイトルのまま進めていて、「本タイトルは後で考えようね」と話していたんです。新井(順子)さんと塚原さんが考えたアウトラインは決まっているんですけど、脚本を書いている間に話が変わってしまうこともあるので。
いざ「本タイトル、どうしようか」となったときに、物語の中で誰かが何かを失っていることが多いことに気づいたんです。それで、単に何かを失うということだけではなく、いろいろな意味での“ロスト”が描かれている話だなということで、『LOST10』に落ち着きました。
塚原:いずれも何か“ロスト”にまつわる話なんです。連続性はあるんですけれども、それぞれの話にも違った味わいがあればいいなと思っていて。1話1話を深く読むのが楽しかったですね。
――第1話を作る上で、特に意識されたことや、印象に残っているシーンはありますか?
奥寺:人物紹介だけにならないようにというのだけは気をつけました。第1話は台本上でいろいろな状況を説明しなくてはいけなくて、その説明に気を取られてしまっていたのですが、映像で見ると本当にスッキリしていて。いろいろなことがちゃんと伝わってくるので、そこが一番うれしかったです。
塚原:本当に、第1話って難しいですよね。山に行った時も、すごい霧で。標高が高いので基本的に天気が変わりやすくて、もう“ロスト”って感じの“ミスト”というか(笑)、ほぼ何も見えないくらいだったんです。それが、撮影の終盤にはすごく晴れて、ようやく山の全景が見えたのが印象に残っています。
■奥寺佐渡子の脚本に宿る“余白”と、チームの信頼
――塚原さんにとって、奥寺さんの脚本の一番の魅力はどこでしょうか?
塚原:山場のところは、セリフもト書きも少なくて、「何かをやってくださいね」みたいな書き方なんです。
山場となるようなシーンって、自然と言葉数が多くなるし、「ここにこういう人がいて、こうしていて、ここのセリフを言ったら立って」など、いろいろと細かく書かれることも多いので、「このシーンを大事にされているんだな」と思いながら受け取るんです。
でも、奥寺さんの場合は、逆にすごく引き算をされる。『夜行観覧車』(2013年)の時から、「このシーン、(セリフもト書きもほとんど)書いていないから怖いよ」って(笑)。
そこが楽しいんですけど、スタッフも「ここ2行しか書いてないですね、危ないですね」と言うくらい、気合を入れていかないといけない。想像力を求められるシーンが、ちゃんと膨らんだかどうかを試されている感じがします。
細かくは書かれていないけれど、「ここは盛り上げるんでしょ」というのはなんとなく分かる。だから「これはやるしかないぞ」と、みんなが理解している感じです。
――奥寺さんは、あえてこういう“余白”を残して書かれているのでしょうか?
奥寺:書きすぎると緊張感がうすれるので。そういうことを読み取ってくださるチームじゃないと、なかなかできないことですよね。
他では「もうちょっと書き足して」と言われることも多いので、たった2行を、すごく豊かなシーンにしてくださるのはありがたいです。
――奥寺さんは、塚原さんと一緒に作品を作る上で、どんなところを信頼していますか?
奥寺:私が言うまでもなく、やはり演出のうまさ。でも、人間的に好きというのはあります。
塚原:私も奥寺さんが好きです。
奥寺:打ち合わせが楽しいですもん。
■2026年の今、作品に映し出したかったこと
――2026年という今、この作品を通して描きたかったこと、届けたいことを教えてください。
奥寺:何か特定のこと、というわけではないのですが、いつもこの時代の不安みたいなものを、少しでも画面に映して、残せたらなというところがあります。社会に対する不安や、「今、これからどうなってしまうんだろう」という気持ち、人間関係における不安など。何を怖いと思っているのか、何を信じたらいいのか分からないという気持ちを残したいと思っています。
10年後にこの『LOST10』を見たときに、「2026年にはこういうことを、みんな不安に思っていたんだ」と思い出してもらえるとうれしいなと思っています。
塚原:“ロスト”という単語が奥寺さんから出てきた時に、「今に限らず、常に生きるというのは失うことなんだな」と思ったんです。いろいろなものを失いながら生活しているけれど、じゃあ、どうするのか。
小駒と直の手が何を救い上げ、どういうふうに結末を迎えるのか。それは自分や誰かを救い上げる手でもあるし、救えない手でもある。台本の中には、生きることの切なさややるせなさみたいなものがすごくあふれているんです。
でも、それをエンタメとして、金曜日に重くのしかかることなく、救い上げる手を期待しながら、救われながら、気持ちも明るくなるというか、ワクワクする1時間にしたい。今こそ、エンタメとして届けるべきタイミングの作品だと思ってやっています。
■答えを一つに決めない物語
――作品全体を通して、「こういうことを伝えたい」というテーマを最初から明確に決めていたのでしょうか?
塚原:始まってすぐに小栗さんから「この作品は最終的にどこに向かいますか?」「主題というか、訴えたいことは何ですか?」と聞かれたんです。そのときには、奥寺さんが本打ち(台本に関する打ち合わせ)の時におっしゃっていた、「いろいろな意味を持つ“ロスト”」という言葉がすごく印象に残っていて。
そこから、いろいろな“ロスト”につながる言葉や、物語の中での意味を思い浮かべていたんです。それがキャラクターに寄せていく場合もあるし、物語の中心になることもある。でも、一つの主題として、「最後にこうさせなければならない」と決めているわけではないんです。それよりも受け取る側に何かあるように作れたらいいなと思ったんです。
小栗さんにも「最終回までまずは読んでみて、自分で考えてもらいたいけれども、その中に言葉に落ちてはいないはずです」と。「行間を共に読んで、育てて、最終的には見ている方に解釈してもらうまでの物語にしましょう」とお伝えしました。
――では、見る人によって、受け取り方も変わってくる作品ということでしょうか?
塚原:そうですね。何を感じるかは、それぞれ違っていいと思います。
奥寺:私自身も、書きながら「こういうことなのかな」と思うことがありますけど、それを一つの答えにしたいわけではないので。見てくださった方が、それぞれ何かを感じてもらえたらうれしいです。
――最後に、視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
奥寺:第1話は遭難救助ものと思われるかもしれないですが、第2話からどんどん話のテイストや、人物の印象が変わってきます。小駒と直がどこにたどり着くのか、ぜひ最後まで見届けていただければと思います。
塚原:金曜の夜に結構ぴったりだなというぐらいワクワクするし、土日に考察をしたり、お友達と月曜日のランチで「見た?」と話題に出たりするように作っているつもりなので、それぞれの楽しみ方で見てくださったら光栄です。











