2026/05/14 11:05
音楽
NEW ZARD坂井泉水さんの歌声は「めちゃくちゃロック」 DEEN・池森秀一、徳永暁人、SARD UNDERGROUNDが語るZARD35周年【インタビュー】
(左から)徳永暁人、SARD UNDERGROUND・神野友亜、DEEN・池森秀一(撮影:鈴木千佳)(C)ORICON NewS inc.
ZARDのデビュー35周年を記念し、ZARD/坂井泉水さんとそれぞれ異なる立場で関わってきた3人が集まった。DEENの池森秀一、ミュージシャンの徳永暁人、そしてSARD UNDERGROUNDの神野友亜。池森は坂井さんが詞を手がけた「翼を広げて」などを歌い、徳永は作曲家、編曲家としてZARDの楽曲制作に参加。神野はSARD UNDERGROUNDとしてZARDの楽曲を歌い継いでいる。
立場はそれぞれ違うが、3人の言葉から浮かび上がったのは、坂井さんの詞、歌声、そして音楽に対する深い敬意だった。
■DEEN・池森秀一「坂井さんは自分にとっての歌詞の先生」
池森にとって、ZARDとの大きな接点はDEENの2ndシングル「翼を広げて」だ。デビュー曲「このまま君だけを奪い去りたい」が大きな反響を呼ぶ中、次作として提示されたのが、Jリーグ中継のエンディングテーマとして流れる楽曲だった。そして、その曲の作詞を坂井さんが担当することになった。
レコーディングのギリギリまで坂井さんは歌詞を考え続け、レコーディングの現場に直接FAXで送られてきたという。そして届いた手書きの歌詞には、「翼を広げて」という言葉があった。サッカーの映像と重なれば応援歌のように響く一方で、歌詞を読み込むと、実は別れの気配を含んだラブソングでもある。その重なりに、池森は坂井泉水という作詞家のすごさを感じたという。デビュー間もない池森にとって、坂井さんは「歌詞の先生」のような存在だった。
徳永にとっても、坂井さんは音楽家として大きな影響を受けた存在だった。作曲家として拾ってもらい、アレンジについても何度も修正を受けたと振り返り、「鍛えてもらった」「いろいろ教えてくれた先輩」と語る。
特に印象に残っているのは、坂井さんが徹底してリスナーの目線を持っていたことだ。徳永は音楽を専門的に学び、作り手としての理論や構築を大切にしていたが、坂井さんからは「テンポを上げてほしい」といった要望を受けることがあった。当初は理由がわからないこともあったが、話していくうちに、坂井さんが大切にしていたのは「聴いた人の気持ちがどう動くか」だったと気づいたという。
■徳永暁人「坂井さんの歌声はめちゃくちゃロック」
徳永は、アレンジ作業の中で坂井さんのボーカルトラックだけを聴く機会もあった。その声を「めちゃくちゃロック」と表現する。爽やかなイメージで語られることの多いZARDだが、実際の歌には強いパンチがあり、深いブレスや言葉の立ち上がりに圧倒的な力があったという。だからこそアレンジでも、坂井さんの声が際立つように余計な音を入れないことを意識していた。
池森も、坂井さんの声について「一発聴くとZARDだとわかる」と語る。どこにもない声であり、唯一無二の魅力がある。さらに、レコーディング現場でスタッフから坂井さんの声量が非常に大きかったと聞いたことも印象に残っているという。音源から受ける繊細な印象とは別に、実際にはとてもパワフルな歌声だという。
神野も、ZARDの楽曲を実際に歌う中で、その魅力と難しさを感じている。坂井さんの歌は力強いのに優しさがある。パワーがありながら、相手への思いやりがにじんでいる。その両立こそが難しく、どれだけ近づこうとしてもたどり着けない声だと話す。
特に難しいのは、一音目を怖がらずにまっすぐ当てる歌い方だという。高い音だけでなく、決して高くない音でもまっすぐ声を出す。そのアクセントの付け方、言葉の立ち上がりに坂井さんらしさがあり、「実際に歌ってみることで初めてわかるすごさがある」と語った。
■神野友亜「ZARDの音楽を聴くときはぜひ歌詞カードを見ながら聴いてほしい」
坂井さんの人柄をめぐるエピソードも印象的だった。池森は「翼を広げて」の制作時、六本木のスタジオで初めて坂井さんに会った。当時すでにZARDは大きな存在だったが、実際に会った坂井さんは「女優さんのようにきれいだった」と振り返る。
徳永が初めて坂井さんに会ったのは、自身が受けたオーディションの最終選考会だった。緊張感のある場で、目の前に微笑みながらこちらを見ている女性がいた。終わったあとに、それが坂井さんだったと知らされ、驚いたという。当時はジャケット写真の印象が強く、正面から見てもすぐにはわからなかった。それでも、その場で穏やかに見守ってくれていた姿は、強く記憶に残っている。
35年を経てもZARDの楽曲が愛され続ける理由について、池森は「言葉、歌詞に共感している人がすごくいるのだと思う」と語る。「負けないで」という言葉は誰もが知っているシンプルな言葉だが、坂井さんの声とメロディーに乗ることで特別な響きを持つ。だからこそ、長く残っていくのではないかという。
神野は、坂井さんの歌詞には聴く人への思いやりがあふれていると語った。曲を聴いてくれる人が元気になるように、どんな言葉を選ぶべきかを考え抜いていたことが伝わってくる。だからZARDの音楽は、今も多くの人に寄り添い続けているのだと感じているという。そして「ZARDの音楽を聴くときはぜひ歌詞カードを見ながら聴いてほしい」と語った。
徳永は、坂井さんについて「人に言えないことを歌にしている」と表現した。恋人に言えない心の中、友人にも言えない本音、直接は口にできない思い。それを歌にしているからこそ、多くのリスナーの代弁者になったのではないかと話す。そして、若い世代にこそ「めっちゃロックだから聴いてみて、と伝えたい」と語った。
それぞれの視点から語られたZARDは、デビュー35年を経た今も新しい発見に満ちていた。坂井泉水さんの言葉は今も誰かの気持ちに寄り添い、その歌声は新しいリスナーにも届き続けている。
昨年2月からZARDの35周年を記念したさまざまな企画が継続的に展開されている。WOWOWではZARDのミュージックビデオや追悼ライブ・周年ライブからセレクトした映像集と、3人も登場するゆかりのミュージシャンやZARDを愛する著名人のコメントをまとめた特別番組を放送・配信する。
■プロフィール
池森秀一(いけもり・しゅういち)
DEENのボーカルとして1993年に「このまま君だけを奪い去りたい」でデビュー。94年に1stアルバム『DEEN』をリリースし、その後も「瞳そらさないで」「Memories」「翼を広げて」「永遠をあずけてくれ」などのヒット曲を生み出す。デビューから30年以上が経った現在も、変わることなく音楽制作、ライブツアー開催と精力的な活動を続けている。昨今、さまざまなメディア出演により蕎麦好きミュージシャンとして名を馳せている。
徳永暁人(とくなが・あきひと)
元doaのベース&ボーカル。作曲ではZARD「永遠」、倉木麻衣「Feel fine!」「Stand Up」「渡月橋 ~君 想ふ~」、またアレンジャーとしてB'z「ultra soul」「Liar! Liar!」「イルミネーション」などのほか多数の楽曲を手がける。ライブサポートとしてもB'z、稲葉浩志、大黒摩季、倉木麻衣、FIELD OF VIEWなど数多くのステージに参加。また『ドラゴンボールGT』『スラムダンク』『人生の楽園』などのテレビシリーズ・映画のサントラの作曲も担当。8弦ベースの弾き語りツアーなども行っている。
SARD UNDERGROUND
ZARDの“永遠のスタンダード・ナンバー”に魅せられたメンバーによって結成。2019年2月にZARDのカバーでの初ライブを開催し、同年9月にZARDの数々の名曲が詰め込まれたトリビュートカバーアルバムでデビュー。現在に到るまで、数々のZARDのカバー曲とともに、坂井泉水さんの未公開詞によるオリジナル曲を発表。令和の時代に“ZARD 永遠のスタンダード・ナンバー”を継なぎ、神野友亜作詞によるオリジナル曲のリリースも重ねている。現在は神野のソロプロジェクトとして活動を展開している。
■DEEN・池森秀一「坂井さんは自分にとっての歌詞の先生」
池森にとって、ZARDとの大きな接点はDEENの2ndシングル「翼を広げて」だ。デビュー曲「このまま君だけを奪い去りたい」が大きな反響を呼ぶ中、次作として提示されたのが、Jリーグ中継のエンディングテーマとして流れる楽曲だった。そして、その曲の作詞を坂井さんが担当することになった。
レコーディングのギリギリまで坂井さんは歌詞を考え続け、レコーディングの現場に直接FAXで送られてきたという。そして届いた手書きの歌詞には、「翼を広げて」という言葉があった。サッカーの映像と重なれば応援歌のように響く一方で、歌詞を読み込むと、実は別れの気配を含んだラブソングでもある。その重なりに、池森は坂井泉水という作詞家のすごさを感じたという。デビュー間もない池森にとって、坂井さんは「歌詞の先生」のような存在だった。
徳永にとっても、坂井さんは音楽家として大きな影響を受けた存在だった。作曲家として拾ってもらい、アレンジについても何度も修正を受けたと振り返り、「鍛えてもらった」「いろいろ教えてくれた先輩」と語る。
特に印象に残っているのは、坂井さんが徹底してリスナーの目線を持っていたことだ。徳永は音楽を専門的に学び、作り手としての理論や構築を大切にしていたが、坂井さんからは「テンポを上げてほしい」といった要望を受けることがあった。当初は理由がわからないこともあったが、話していくうちに、坂井さんが大切にしていたのは「聴いた人の気持ちがどう動くか」だったと気づいたという。
■徳永暁人「坂井さんの歌声はめちゃくちゃロック」
徳永は、アレンジ作業の中で坂井さんのボーカルトラックだけを聴く機会もあった。その声を「めちゃくちゃロック」と表現する。爽やかなイメージで語られることの多いZARDだが、実際の歌には強いパンチがあり、深いブレスや言葉の立ち上がりに圧倒的な力があったという。だからこそアレンジでも、坂井さんの声が際立つように余計な音を入れないことを意識していた。
池森も、坂井さんの声について「一発聴くとZARDだとわかる」と語る。どこにもない声であり、唯一無二の魅力がある。さらに、レコーディング現場でスタッフから坂井さんの声量が非常に大きかったと聞いたことも印象に残っているという。音源から受ける繊細な印象とは別に、実際にはとてもパワフルな歌声だという。
神野も、ZARDの楽曲を実際に歌う中で、その魅力と難しさを感じている。坂井さんの歌は力強いのに優しさがある。パワーがありながら、相手への思いやりがにじんでいる。その両立こそが難しく、どれだけ近づこうとしてもたどり着けない声だと話す。
特に難しいのは、一音目を怖がらずにまっすぐ当てる歌い方だという。高い音だけでなく、決して高くない音でもまっすぐ声を出す。そのアクセントの付け方、言葉の立ち上がりに坂井さんらしさがあり、「実際に歌ってみることで初めてわかるすごさがある」と語った。
■神野友亜「ZARDの音楽を聴くときはぜひ歌詞カードを見ながら聴いてほしい」
坂井さんの人柄をめぐるエピソードも印象的だった。池森は「翼を広げて」の制作時、六本木のスタジオで初めて坂井さんに会った。当時すでにZARDは大きな存在だったが、実際に会った坂井さんは「女優さんのようにきれいだった」と振り返る。
徳永が初めて坂井さんに会ったのは、自身が受けたオーディションの最終選考会だった。緊張感のある場で、目の前に微笑みながらこちらを見ている女性がいた。終わったあとに、それが坂井さんだったと知らされ、驚いたという。当時はジャケット写真の印象が強く、正面から見てもすぐにはわからなかった。それでも、その場で穏やかに見守ってくれていた姿は、強く記憶に残っている。
35年を経てもZARDの楽曲が愛され続ける理由について、池森は「言葉、歌詞に共感している人がすごくいるのだと思う」と語る。「負けないで」という言葉は誰もが知っているシンプルな言葉だが、坂井さんの声とメロディーに乗ることで特別な響きを持つ。だからこそ、長く残っていくのではないかという。
神野は、坂井さんの歌詞には聴く人への思いやりがあふれていると語った。曲を聴いてくれる人が元気になるように、どんな言葉を選ぶべきかを考え抜いていたことが伝わってくる。だからZARDの音楽は、今も多くの人に寄り添い続けているのだと感じているという。そして「ZARDの音楽を聴くときはぜひ歌詞カードを見ながら聴いてほしい」と語った。
徳永は、坂井さんについて「人に言えないことを歌にしている」と表現した。恋人に言えない心の中、友人にも言えない本音、直接は口にできない思い。それを歌にしているからこそ、多くのリスナーの代弁者になったのではないかと話す。そして、若い世代にこそ「めっちゃロックだから聴いてみて、と伝えたい」と語った。
それぞれの視点から語られたZARDは、デビュー35年を経た今も新しい発見に満ちていた。坂井泉水さんの言葉は今も誰かの気持ちに寄り添い、その歌声は新しいリスナーにも届き続けている。
昨年2月からZARDの35周年を記念したさまざまな企画が継続的に展開されている。WOWOWではZARDのミュージックビデオや追悼ライブ・周年ライブからセレクトした映像集と、3人も登場するゆかりのミュージシャンやZARDを愛する著名人のコメントをまとめた特別番組を放送・配信する。
■プロフィール
池森秀一(いけもり・しゅういち)
DEENのボーカルとして1993年に「このまま君だけを奪い去りたい」でデビュー。94年に1stアルバム『DEEN』をリリースし、その後も「瞳そらさないで」「Memories」「翼を広げて」「永遠をあずけてくれ」などのヒット曲を生み出す。デビューから30年以上が経った現在も、変わることなく音楽制作、ライブツアー開催と精力的な活動を続けている。昨今、さまざまなメディア出演により蕎麦好きミュージシャンとして名を馳せている。
徳永暁人(とくなが・あきひと)
元doaのベース&ボーカル。作曲ではZARD「永遠」、倉木麻衣「Feel fine!」「Stand Up」「渡月橋 ~君 想ふ~」、またアレンジャーとしてB'z「ultra soul」「Liar! Liar!」「イルミネーション」などのほか多数の楽曲を手がける。ライブサポートとしてもB'z、稲葉浩志、大黒摩季、倉木麻衣、FIELD OF VIEWなど数多くのステージに参加。また『ドラゴンボールGT』『スラムダンク』『人生の楽園』などのテレビシリーズ・映画のサントラの作曲も担当。8弦ベースの弾き語りツアーなども行っている。
SARD UNDERGROUND
ZARDの“永遠のスタンダード・ナンバー”に魅せられたメンバーによって結成。2019年2月にZARDのカバーでの初ライブを開催し、同年9月にZARDの数々の名曲が詰め込まれたトリビュートカバーアルバムでデビュー。現在に到るまで、数々のZARDのカバー曲とともに、坂井泉水さんの未公開詞によるオリジナル曲を発表。令和の時代に“ZARD 永遠のスタンダード・ナンバー”を継なぎ、神野友亜作詞によるオリジナル曲のリリースも重ねている。現在は神野のソロプロジェクトとして活動を展開している。











