2024年5月28日(火)
太田昌克の視点
『太田昌克の視点』
硬軟両様で封じ込め 中国、演習定期化も
2024年5月24日(金)放送分より
中国軍は5月24日に、台湾を包囲する海域と空域で2日目の軍事演習を始めた。これは、独立派とみなす台湾の新総統・頼清徳氏の政権に対し、圧力を強化する狙いがあることは間違いない。
実際に、23~24日午前7時までの24時間で、中国の軍用機のべ49機が台湾周辺で活動したと、台湾の国防省に当たる国防部が発表した。
威圧を強める中国政府。その真意を番組キャスターで共同通信編集委員の太田昌克が読み解いた。
頼総統は就任の演説で「中国と台湾はお互いに隷属しない」と述べた。これが中国の掲げる「一つの中国」の原則から逸脱しているとして、中国軍東部戦区が「台湾独立のたくらみへの懲罰」として軍事演習を始めたのだ。
過去にも同じようなことがあった。
2年前、当時のペロシ米下院議長の台湾訪問直後には、今回より大規模な軍事演習が行われた。
規模が縮小しているものの、太田は今回の演習で気になる点があるという。
2023年4月に台湾の蔡英文総統(当時)が訪米した際に行った中国軍の演習名は「連合利剣2023」。
これに対し今回の演習名は「連合利剣2024A」と、なぜか最後にアルファベットの「A」が付いている。
太田が外務省の中国専門家に取材したところ「Aの後にB、Cとあるかもしれない」。今後、台湾周辺での軍事演習が常態化する可能性も否めないと太田は指摘する。
一方、中国政府は台湾野党の馬英九元総統が4月に訪中した際には、トップの習近平氏自らが会談するという厚遇ぶりだった。これは台湾立法府の比較第一党である国民党には秋波を送りながら、独立色がより強い民進党の頼政権に対しては軍事力を背景とした封じ込めを進める、まさに「硬軟両様の構え」なのだ。
しかしこうした威嚇行為が定期化すれば、中国が台湾市民全体を敵に回す逆効果も考えられる。
26~27日には日中韓首脳会談、そして日中首脳会談も開催される。
岸田首相には是非とも、中国の威圧的なアプローチが決して長期的な国益につながらない点を、会談相手の李強首相に力説し、中国にくぎを刺してもらいたいと太田は強調した。
※このコーナーでは、BS11の報道番組で放送した内容を元に記事にして掲載しています。
一部情報は掲載の時期によって更新されることもありますので、予めご了承ください。
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太田昌克の視点
番組キャスターで共同通信編集委員、ジャーナリストの太田昌克が取材したネタを中心に、独自視線で語るコーナー。毎月第2・第4金曜日放送中。